人前でなにかをする、初対面の人に会うといった社会的(社交的)行為をしなければならない状況に自分がおかれた時、「緊張したり」、「不安を感じたり」することは、誰にでもあることですが、その緊張や不安の程度が強い(病的不安)ために、それらの状況を「避ける」ようになり、その結果、日常の生活や仕事に支障が現れたりする病気が「社交不安障害」です。
以前は「対人恐怖症」「社会恐怖」とも言われましたが「赤面恐怖」「視線恐怖」なども含まれます。
発症は若い時期で、女性に多く、生涯有病率が5〜10%と推計されておりますから
大変ポピュラーな病気です。
また不安状態が長期化するとうつ状態を併発することもあります。
以下のような症状がある方は、「社交不安障害」かもしれません。

・人前で話そうとすると極度に緊張する
・目上の人の前だと、話せなくなる
・人と一緒だと緊張して食事がのどを通らない
・人前で字を書こうとすると、手が震えてしまう
・対人場面で緊張すると汗が止まらない
・人と話しをするときに緊張して赤面してしまう
・人と話すときに視線を合わせられない
・緊張して電話に出るのが怖い 等


多くは不安をやわらげるお薬による治療などでかなりの改善が得られます。
ある方は「視線恐怖」「対人恐怖」などの理由で長年引きこもっておられましたが、
治療により症状が改善し、3か月後には職に就けるまでになり、
「住む世界が広がった」との感想をお聞きしました。
心あたりの方は専門医へのご相談をおすすめします。
心の不調は専門医へご相談ください。

◆ 認知症の種類
疾患別認知症の割合

認知症とは「知能の障害」であって、一旦正常に発達した知的機能(知能)が、持続的に低下し、複数の認知機能障害があるために社会的に支障をきたすようになった状態を言います。
しかし、最近は研究も進み「治らない」と言われてきた認知症状を緩和したり、改善することができます。

◆ 認知症の治療
中核症状とBPSD

当院では、「物忘れ」の原因となる症状を認知症・せん妄・うつ病等鑑別を行い、その症状に合わせた薬物療法を行っていきます。
また、認知症の中核症状(記憶障害・認知障害・人格変化)周辺症状(精神症状・行動障害)=BPSD
の治療についてご家族への説明を行っています。薬物療法で会話の疎通性が改善したり、感謝の言葉を介護者へ言うようになった・・などの変化が見られるようになります。


◆ 認知症の治療において大切なこと

認知症の方へのマネジメント

薬物療法と並行して非薬物療法(回想法や学習療法)を取り入れたリハビリテーションをお勧めし、ご本人の自信の回復や二次的に知的機能の改善や介護負担を軽減するアドバイスなどを行います。
認知症の治療において大切なことは、ご本人の不安を解消することです。当院ではご家族が笑顔でご本人と接していくことが出来るよう治療に当たっていきます。
認知症の介護は長丁場です。「笑顔での対応」に心がけましょう。

○認知症について「理解」を深めると介護者にとって「ゆとり」のある対応が可能となります。

○介護者にゆとりがあれば、「笑顔」での対応ができます。

○「笑顔」は認知症の方を和ませ、結果的に介護を楽にします。




◆ 「うつ」と「自殺」

日本の自殺者数は、
長い間2万3千人前後でありましたが98年に3万人を超え、
その後も3万3千人前後で推移しています。

福岡市でも同様で、
97年の250人から98年には344人へと急増、
その後300人台で推移しています。

内訳を見ますと、特に中高年男性の自殺が急増しています。
一方、自殺者の大半がうつ病だったことが分かっています。

長引く不況、企業における経営効率の追求、
情報化による労働の質・内容の変化、
終身雇用制の崩壊など労働環境に大きな変化がみられ、
職場ストレスが増大しており、
「強い不安、悩み、ストレス」を持つ労働者の比率が急速に増加していますが、
働き盛りの中高年男生にはストレスフルで受難の時代といえます。
うつ病や自殺者数の増加と無関係ではないと思われます。




◆ 「うつ」の発症状況

うつ病は、
うつ病になりやすい素因真面目な性格に、
精神的過労、心理的葛藤、社会・経済的不安などの心因や、
身体的疾患、身体的過労、出産、身体的発達過程などの身体因が加わって、
発症すると想定されています。



◆ 「うつ」の症状

うつ病の症状は、
「気分が沈んで晴れ晴れしない」
「何となく憂うつ病」・「笑えない」といった感情障害と、
「意欲がわかない」・「元気が出ない」・「何事にもおっくうで何もしたくない」
「人と話すのも億劫で、人と会いたくない」
「頭の回転が悪くなり理解力、判断力、決断力が低下した」などの
意欲・行動面での渋滞
「今まで楽しんでやっていたことが楽しめない」といった
興味の喪失などの精神症状を主体とし、

元気がなくなり口数も減って笑顔が消え、
仕事の能率低下、ミスの増加などで周囲にも気付かれます。

「自分がつまらない存在で、生きている価値がない」などの
考えが起こり自殺を考えるようになるのです。


「メンタルヘルス」心の健康づくり

うつ病は、軽症うつ病まで含めると数人に一人が生涯に一度はかかるとされるポピュラーな病気です。

2008年 ハートフルドクター(福岡市医師会健康情報誌)に掲載された紙面です。
あなたの心の疲れをチェックしてみてください。

ハートフル2008.30.01

ハートフル2008.30.02

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掲載 HEARTFUL FUKUOKA(福岡市医師会健康情報誌)2008 vol.30 特集より